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社長の社宅家賃の本人負担額は減らせるか

2022/06/06

社長が負担する社宅家賃は少なくできる!?

社長!社長の社宅家賃は半額自己負担です!

顧問税理士からこういわれている社長さんは少なくないのではないでしょうか。

税務リスクと手間を考慮すると、顧問税理士にとってはそのように説明するのが手っ取り早くて楽だと思います。

でも社長、もっと社宅負担額は減らせるかもしれません。 社長に限らず役員全般ですが、国税庁のHPには、以下の記載があります。

  • 役員に無償で社宅を貸与する場合には、賃貸料相当額(1か月当たり一定額の家賃)が、給与として課税されます。
  • 役員から賃貸料相当額より低い家賃を受け取っている場合には、賃貸料相当額と受け取っている家賃との差額が給与として課税されます。
  • 役員に対して社宅を貸与する場合は、役員から会社が賃貸料相当額を受け取っていれば、給与として課税されません。 

キーワードは賃貸料相当額です。この賃貸料相当額について、多くの税理士は家賃の半額と言っているのです。

でも、賃貸料相当額=家賃の半額いうわけでありません。

もっと有利な算定ができる可能性があります。

賃貸料相当額とは

国税庁HPによると、役員に貸し付けている賃貸料相当額について以下の記載があります。

賃貸料相当額は、貸与する社宅の床面積により小規模な住宅とそれ以外の住宅とに分け、次のように計算します。ただし、この社宅が、社会通念上一般に貸与されている社宅と認められないいわゆる豪華社宅(床面積が240平方メートルを超えるもののうち、取得価額、支払賃貸料の額、内外装の状況等各種の要素を総合勘案して判定。なお、床面積が240平方メートル以下のものであっても、一般に貸与されている住宅等に設置されていないプール等の設備や役員個人のし好を著しく反映した設備等を有するもの)である場合は、次の算式の適用はなく、通常支払うべき使用料に相当する額が賃貸料相当額になります。

1.役員に貸与する社宅が小規模住宅である場合

(1) (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%
(2) 12円×(その建物の総床面積(平方メートル)/(3.3平方メートル))
(3) (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%

上記(1)~(3)の合計額が賃料相当額(通常、かなり安価な金額となる

2.役員に貸与する社宅が小規模住宅でない場合

(1) 自社所有の社宅の場合

賃料相当額(月額)は次のイとロの合計額の12分の1
イ (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×12%
 ただし、法定耐用年数が30年を超える建物の場合には12%ではなく、10%を乗じます。
ロ (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×6%

(2) 他から借り受けた住宅等を貸与する場合

会社が家主に支払う家賃の50%の金額と、上記(1)で算出した賃貸料相当額とのいずれか多い金額が賃貸料相当額になります。(通常(2)の方が多くなるため、家賃の50%を採用

勘の鋭い方はお気づきでしょう。家賃の半額を社長が負担する理由は、上記2(小規模宅地でない場合)の(2)があるためです。

ただし、社長の社宅が「小規模宅地」である場合、上記1の方法で算定できるので、社長の負担額はかなり安価になることとなります。

これが多くの社長にとって盲点となっています

小規模住宅とは

国税庁のHPによると、

小規模な住宅とは、法定耐用年数が30年以下の建物の場合には床面積が132平方メートル以下である住宅、法定耐用年数が30年を超える建物の場合には床面積が99平方メートル以下(区分所有の建物は共用部分の床面積をあん分し、専用部分の床面積に加えたところで判定します。)である住宅をいいます。

とあります。

簡単に言うと、木造であれば132㎡以下、それ以外であれば99㎡以下の場合、小規模住宅に該当することになります。

なお、1棟の建物のオーナーがバラバラである区分所有建物の場合、これらは占有面積でなく、共用部分の面積を按分し専有面積に加えた値となります。

小規模住宅の賃料相当額の計算

手順は以下です。

  1.  共有面積を考慮した面積を確認する
  2.  建物及び土地の固定資産評価証明書を入手する(必要に応じて登記簿を入手する)
  3.  計算式に当てはめて賃料相当額を計算する

ちょっと手続き的にはややこしいのですが、このように整理してみると、非常にシンプルな内容ですね。これがうまくできれば

ほぼ確実に社長の手取りを増やすことができます。

実例では、

〇 家賃 20万円 本人負担額 10万円 ⇒ 2万円に変更(手取りは毎月8万円増えた、つまり年間96万円増える

〇 家賃 26万円 本人負担額 13万円 ⇒ 2.5万円に変更(手取りは毎月10.5万円増えた、つまり年間126万円増える

〇 家賃 35万円 本人負担額 17.5万円 ⇒ 4万円に変更(手取りは毎月13.5万円増えた、つまり年間162万円増える

などがあります。小規模住宅の場合、ほぼ確実に社長の手取りが増えます。

社長本人の手取りを増やすには、その倍額程度の役員報酬アップをしないといけません(厳密には社長の所得税率次第ですが)。本当に無駄ですし、対外的な見せ方を考慮して役員報酬はあまり増やしたくないところです。

可能性がある方は是非チャレンジしてみてください。

(手続きのやり方が分からない、面倒だと思っている方は、本稿下部の代行サービスに関するご案内をご参照下さい)

従業員の手取りを増やす

小規模住宅の境目があるのは役員に限られた話であり、従業員(見せかけ従業員は除かれます)の場合は、全ての社宅に、役員の場合の小規模住宅と同様の賃料相当額の算定方法が採用されます。

つまり、賃料相当額は非常に低く算定されます。

「会社が払う社宅家賃」と「従業員が負担する賃料相当額」の差額は、従業員にとって儲けとなりますが、これには所得税や社会保険料がかかりません。

もし、この差額の分だけ給料を下げられたら、会社にとっては負担を変えずに従業員の手取りを増やすことができます。

外資系企業などでよく見られる手法だと思いますが、所得税率や消費税率が高くなり、お金を個人で蓄えるのが困難になってきた現在では、このような工夫で個人の手残りを増やすのが有益なのではとも思われます。

KMSの賃料相当額算定代行サービスについて

賃料相当額の算定を自社で行えない、ないし面倒だと思っている方もいらっしゃると思いますので、そのような方のためにKMS経営会計事務所では算定代行サービスを行っています。

ただ、日常の諸業務が多忙というのもあり、

月あたり限定10社

とさせていただいております(税務顧問先は除きます)。

料金は1件当たり、初年度10万円(手付金5万円、成果物納品時5万円)、同内容の賃貸契約の場合、2年目以降5万円(いずれも消費税抜き)

です。固定資産税の課税標準額が変わるため、1回で終わりでなく更新が必要となる可能性があります。

なお、共有面積を調べた結果、小規模住宅でないことが判明する場合があります。その場合は手付金5万円のみが掛かることになります。

成果物は、「社宅適正賃貸料確認計算書」です(税務証拠としてご利用いただきます)。算定に必要な各種書類の原本と一緒にお渡しします。

ご準備いただきたい書類は事前にご案内します。

本サービスをご用命の方は以下よりお問い合わせください。

https://k-m-s.jp/#contact

本当にお得ですので、可能性のある方は、ご自身での対応を含め、是非ご検討いただければと思います。
今回はこの辺りで失礼いたします。 

 

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